【ニューロマトリックス/NeuroMatrix】

ニューロマトリックス

1965年にメルザックとウォールによって提案された「ゲートコントロール理論」は、急性と慢性疼痛における脊髄および脳のメカニズムの役割を強調し、疼痛の研究および治療において進歩を引き起こしました。

そのメルザックが、2001年に発表した新しい疼痛の理論が「ニューロマトリックス」です。


ニューロは神経、マトリックスは「何かを生み出すもの・基盤」という意味があります。


「ニューロマトリックス理論とは、痛みが、広く分布した神経回路網によって生成された、神経インパルスの「神経サイン」パターン(脳内の「身体-自己ニューロマトリックス」)によって生じる多次元の経験であることを提案している。」

痛みとは、まず何らかの刺激により、脳の中でシナプス結合が起こります。

そしてある「神経サイン」パターンが生成され、過去の記憶や感情などと結びつき、脳内の神経基盤であるニューロマトリックスによって生じる「経験(例えば傷み)」だということです。

「慢性疼痛は、傷害、炎症または他の病理によって誘発された感覚入力によって直接的にではなく、脳内に広く分布した神経回路網の出力によって生成されます。」


「ニューロマトリックス全体のシナプス結合パターンによって神経サインは生成されます。」

幻肢痛というように、病気や怪我などにより手脚を切断したあと無くなった部分が痛む場合があります。

また慢性痛のように、組織の損傷が癒えたはずなのにいつまでも痛みを感じる場合もあります。

これらから、組織の損傷=傷みとは限らないということです。痛みは入力信号ではなく脳からの出力信号なのです。

・Pain and the neuromatrix in the brain.
Melzack R. J Dent Educ. 2001.

ニューロマトリックスの図

Pain and the neuromatrix in the brain.
Melzack R. J Dent Educ. 2001.より

【入力】左側

<認識-評価>
・脳へ入力される緊張
(文化の学習、過去の経験、可変的な個性)

・脳へ入力される位相性
(注意、予期、不安、憂うつ)

<感覚-識別>
・位相性の皮膚感覚入力
・緊張する身体入力(トリガーポイント、変形)
・内臓からの入力、視覚、前庭、他の感覚入力。

<動機-情動>
視床下部-脳下垂体-副腎皮質系、
ノルアドレナリン-交感神経系、
免疫系、サイトカイン、内在性オピオイド:大脳辺縁系

【身体-自己ニューロマトリックス】中央

入力を混ぜ合わせ、出力する。

【出力】右側

<痛覚>
評価的な認識の範囲、
判別感覚の範囲、
情動の動機の範囲
(ストレス感覚を含む)

<行動プログラム>
無意識の行動パターン
自発的な行動パターン
社会的なコミュニケーション
対処する方針

<ストレス調整プログラム>
コルチゾールの値
ノルアドレナリンの値
サイトカインの値
免疫系の活性化
エンドルフィンの値

まとめ

痛みは、文化的、過去の経験、予期、不安、刺激入力、感情が脳内のニューロマトリックスで混ぜ合わされ、それが痛み、行動、評価としての感情、免疫系、ストレスを感じる、という流れがあり、総合的に「痛み」として出力されます。

痛みは、末梢神経、後根神経節、脊髄が重要な働きをしますが、中枢神経である脳内のニューロマトリックスが総合的に判断をしてあらわれます。

日本語で数少ないニューロマトリックスが少し掲載されている本です。

ペインリハビリテーション

疼痛


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