【疼痛と侵害受容との違い】

慢性疼痛とは?

疼痛とは痛みのことですが、慢性疼痛とは痛みが3ヶ月以上続くことをいいます。

針を指に刺した時のように、瞬間的にピリッとくる急性痛の場合、Aδ線維という有髄の神経線維により起こります。

その後に来るジンジンした痛みは、C線維という無髄の細い(Aδの1/6ほど)神経線維により起こります。

C線維自由神経終末は、ポリモーダル受容器とも言い、機械刺激(接触など)以外にも熱や化学薬品にも反応します。

それらAδ&C神経線維の末端は、自由神経終末といい、感覚受容器などがついていない軸索のままの状態となっています。

そして神経の細胞体(頭)は、「後根神経節」といわれる、脊髄の背中側に存在する、感覚神経の塊でもある膨らみにあります。

この部分は「ミニブレイン」ともいわれる、とても大切な働きをする部位でもあります。

ここからは、マニュアルセラピーやボディーワークでメインとなる慢性痛について書いていきます。

侵害受容とは?

上の項目ではわかりやすく「痛み」と書きましたが、実際には、AδやC線維が伝える情報は「侵害受容性」信号といいます。

つまり、身体に浸入して害を与える可能性のある外部or内部からの刺激ということです。分かりやすく言うと「警戒」信号です。

「痛み」というのは、侵害受容性信号(入力)を脳がキャッチしてさまざまな要因と組み合わせて、脳が「痛い」(出力)と感じる個人的な感覚の事です。

だから諺で「人の痛みはわからない」というのです。同じく人の感覚や感情も表情や行動で表されなければ、他の人には分からないのと同じなのです。

中枢感作/後角

中枢感作とは、脊髄にある後角という部分に分布する侵害受容器が、活性化しやすく敏感になる(感作)ことをいいます。

この中枢感作は、侵害受容情報を増加させますが、必ずしも疼痛と=ではありません。動物や人の研究で、痛みを訴えていない人でも中枢感作が起こっているというものがあります。

他にも、末梢神経の末端である受容器・脊髄の後根神経節で起こるものもあります。

脳=中枢神経

ニューロマトリックス」の記事でも書きましたが、痛みは入力ではなく出力です。

ニューロマトリックスとは?

「痛み」という刺激が脳に入力されるのではなく、「警戒」(侵害受容)信号が入力され、脳の中で、過去の記憶や感情、予期などとミックスされ、この刺激に対して身体を保護する必要があると結論を出した場合に「痛み」という出力がでるのです。

日本語で数少ないニューロマトリックスが載っている本。

 

また、疼痛研究で著名なロリマー・モーズリー氏の言葉にこんなものがあります。

「すべての出力が、すぐに新しい入力になる。」

慢性痛の厄介な部分が、この言葉に表されています。

脳は、侵害受容性信号を、脊髄後角から受け取るときに促進or阻害します。

つまり、脳は受け取る情報を無意識的に、コントロールして取捨選択しているのです。

ただ単に、一方的に入力を待っているのではないという事です。

まとめ

国際疼痛学会IASPによる痛みの定義です。

 「痛みは、実質的または潜在的な組織損傷に結びつく、あるいはこのような損傷を表わす言葉を使って述べられる不快な感覚・情動の体験である」

大切なところは、「潜在的」、「感覚・情動の体験」という所です。

つまり、幻肢痛(事故や病気などにより四肢を失った人の痛み)があるということは、組織の損傷がなくても痛みを感じるということです。

それが、「潜在的」であり、脳で生み出されるため「感覚/情動」の体験という部分に当てはまります。

マニュアルセラピーやボディーワークをやってらっしゃる方にお伝えしたいのは、

「ヘルニア、構造や身体が歪んでいる、筋肉のバランスが悪い、関節の可動域が狭い」

=痛みが出る。わけではないのです。

▷ 構造・骨格の個体差/椎間板ヘルニアについて

あくまでそれらは、構造の偏りであり、侵害受容信号を入力するきっかけになる可能性のある事柄なのです。

・Reconceptualising Pain According to Modern Pain Science/G. Lorimer Moseley

参考文献:Explain pain/David S.Butler・G. Lorimer Moseley   ※Noigroup.comのページから直接注文することも可能です。

Explain Pain (English Edition)

疼痛


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